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特定非営利活動団体 アジア太平洋遺伝子細胞治療コンソーシアム
遺伝子治療が人間の疾患の新たな治療法として臨床研究が開始されてから、25年が経過しております。この間、悪性腫瘍、神経疾患、小児遺伝性疾患などを対象に、当該治療による数多くの臨床研究が実施されてきました。その過程で多くの問題点が明らかになり、遺伝子治療は基礎医学と臨床医学の間を揺れ動き、その進歩は決して平坦な道ではありませんでした。しかし、これらの問題点は当該分野に関わる多くの医学研究者の真摯な努力によって、改善が図られてきており、新しい知見や技術を取り込むことによって、最近は新たに医薬品として認められるに至っております。輝かしい成果と挫折を繰り返してきた医学の他の分野と同様に、遺伝子治療も今日、また新しいスタートラインに立っていると言えます。
遺伝子治療は、開かれた学問であり、周辺領域の学問の進歩と無縁ではありません。たとえば細胞治療と遺伝子治療を厳密に区別することは、医学上なんらの意味を持ちえません。本来医学研究とはそうあるべきもので、遺伝子治療もその例外ではなく、医学領域を超えて工学・IT技術の進捗とともに、新しい展開を目指しております。
日本遺伝子細胞治療学会は、早くからこの潮流に着目し、世界の当該学会のなかでも最も歴史ある学会の一つで、常に最先端の地位を占めてきました。一方で、アジア・オセアニア地域をはじめ、欧米各諸国と学術交流に努めてきております。今般、これまでの国際交流をもとに、アジア・オセアニア地域の研究者らと共にコンソーシアムを形成し、遺伝子細胞治療のさらなる普及と発展を進めていくことにいたしました。米国にはAmerican Society of Gene and Cell Therapyがあり、欧州には各国の遺伝子細胞治療学会のほかに、European Society of Gene and Cell Therapyがありますが、多くの人口を抱え、著しい経済発展を遂げている若いアジアには、これに相当するものがないのがその理由であります。
本法人は、このアジア・オセアニア地域における遺伝子細胞治療の発展に資する学会設立に向けてのもので、同地域の遺伝子細胞治療の学問的進捗を図り、各国との学術交流を実施し、若い研究者の育成を担い、一般の方々や患者の皆様への広報活動などを通じて、新しい治療分野である遺伝子細胞治療の進展を目的とするものです。また将来の国際共同治験を円滑に進め、遺伝子細胞治療製品の普及を図るため、各国の遺伝子細胞治療に関連する規制についても検討し、課題解決に向けた活動の展開も視野に入れております。
私どもの趣旨にご理解とご賛同をいただき、広くご協力とご支援をお願いする次第です。
2015年7月1日
設立代表者 髙橋雅夫